2004-03-01から1ヶ月間の記事一覧

今年読んだ本(マンガは除く)のまとめ。 1月/25冊 2月/33冊 3月/41冊 このペースでいけば今年中に積読本が無くなるかもしれない。

 『プレイバック』 レイモンド・チャンドラー ハヤカワ・ミステリ文庫

私がまだガキだったころ、チャンドラーの作品は中学生のポエムだと馬鹿にしていたことがあって、長いことチャンドラーは好きではなかった。だが最近は、かっこつけているだけのチャンドラーのキャラたちが、非常に魅力的に思えるようになった。年齢を重ねて…

 『遠きに目ありて』 天藤真 創元推理文庫

おかゆまさきと並んで、最近の私のお気に入りの作家・天藤真の短編集。車椅子に乗った少年が難事件を解決する安楽椅子探偵モノ。1話目、2話目では相棒の警官の話を聞くだけで事件を解決するが、3話目以降は自らも現場へ赴いたりする。ミステリとして出来…

 『悪意』 東野圭吾 講談社ノベルス

前半が退屈。全体的にパンチ力不足。後半は面白い。なんつーか、もっと“悪意”が欲しかった。

 『繭の夏』 佐々木俊介 創元推理文庫

引越し先のアパートの天井裏から古ぼけた人形を見つけた並木姉弟。その人形には次のような紙切れが挟まれていた。「ゆきちゃんはじさつしたんじゃない。まおうのばつでしんだんだ」夏休みを利用して、姉弟は過去の眠れる殺人の真相を暴いていく。第六回鮎川…

 『誰が、いばら姫を起こしたのか』 I・フェッチャー ちくま文庫

発表の順は逆だが、鯨統一郎のデビュー作『邪馬台国はどこですか?』みたいな作品。今となっては古いネタも多々あったが、そこそこ面白かった。

 『天使の殺人「完全版」』 辻真先 創元推理文庫

裏の作品紹介で犯人がばらされているのだが、それでも楽しめるという奇妙なミステリ。これは予備知識一切無しで読むのが良い作品だろう。辻真先の特色がよく出た小説。

単位落とした。

 『左眼を忘れた男 I wanna see you』 浅暮三文 講談社ノベルス

栄えある第1回参推魂でトラック氏id:viewから頂いた本。ある男から飛び出した左眼の冒険を描いたもの。乱歩が言うところの「奇妙な味」全開の作品。読んでいてクラクラしてくる。決して読みにくい文章というのではないが、気持ち悪くなる妙な文章だった。 発…

 『黄金流砂』 中津文彦 講談社文庫

あの岡嶋二人の『焦茶色のパステル』とともに第28回江戸川乱歩賞を受賞した作品。「義経が衣川で死なず、生き延びていた」という義経生存説を絡めつつ、奥州藤原氏三代の黄金財宝を巡る暗号ミステリ。 暗号のほうは凝っていて非常に出来が良いのだが、殺人事…

 『招かれざる客』 アガサ・クリスティー ハヤカワ・ミステリ文庫

一人の男が道に迷い、電話を貸して欲しいといって、とある屋敷にやってきた。しかしその男が見たのは、書斎に転がっているその家の主と、死体のそばで拳銃を握り締めている一人の女性だった。彼は女性を救うためいろいろと細工をするが……。 クリスティーの戯…

 『七年目の脅迫状』 岡嶋二人 講談社文庫

「次週のメインレースの一番枠の馬を勝たせよ、この要求を受け入れなかった場合には……」という脅迫状が中央競馬会に届く。真相を究明するために主人公・八坂心太郎は北海道へ赴く。 競馬三部作の中の2作目。非常に堅実な作品。格別驚くような密室トリックや…

 『九マイルは遠すぎる』 ハリイ・ケメルマン ハヤカワ文庫

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ」このあまりにも有名なフレーズを元に謎解きがおこなわれる表題作を含む8篇の短編集。探偵役・ニッキイ教授の法螺話がとても良い。ただ続けて読むと飽きるので、夜寝る前に一話ず…

 『探偵小説論序説』 笠井潔 光文社

第3回本格ミステリ大賞受賞作。 まず『探偵小説の構造』という章では、『形式論』、『役柄論』、『叙述論』などミステリを10個のパーツに分解して詳細に述べている。非常に面白い。ミステリに関してこれほど面白い評論はなかなか読めない。特に『推理論』や…

 『グリム童話(下)』 池内紀・訳 ちくま文庫

内容を一応紹介しておく。お馴染みの『白雪姫』やら『いばら姫』などのお話が載っている。基本的に人が死ぬ話が多い。またディズニーみたいなつまらない説教臭はない。おちがない話もある。あとがきはつまらない。 ようやく気づいたのだが、俺はファンタジー…

本棚を整理していたらクリスティのダブリ本を発見。 『パーカー・パイン登場』『ヒッコリー・ロードの殺人』『魔術の殺人』の3冊。 読書メモをきちんとつけとけばこんな事態は避けられたのに。どうしよう、コレ。ボロボロだから古本屋持ってっても値段つかね…

 『折鶴』 泡坂妻夫 文春文庫

職人の世界で、男女の結びつきの不可解さを描いた4つの短編を収めた作品。泡坂お得意のポルノ小説かと思っていたが、そういう描写は珍しく少なかったのでそこはよかった。ただ、会話文が気持ち悪くて、反吐が出そうだった。出てくる女性全員が出来の悪いギ…

 『ミステリアスキャッツ にゃあ!にゃあ!にゃあ!』 柘植めぐみ 富士見ミステリー文庫

神社で起こった放火殺人と少女の失踪事件を扱ったミステリ。謎を解くのは5匹の猫の探偵団。それぞれが〈猫武術〉や〈猫霊媒〉などの特殊能力を使用して謎解きに当たる。 タイトルのやけくそさに惹かれて購入。よりによってビートルズのパロディとは…。作者は…

 『確率2/2の死』 島田荘司 光文社文庫

決してつまらなくはないが「面白かったか?」と聞かれたらはいと答えることは出来ない。ミステリとしての着想はそこそこいいんだが、主人公・吉敷刑事のとってつけたような正義感が、読んでいてウザかった。 あと本編よりも解説の中島河太郎のいつも通りの解…

 『キドリントンから消えた娘』 コリン・デクスター ハヤカワ文庫

「幾重にも張り巡らされた論理の罠をかいくぐり、試行錯誤のすえにモ−スが到達した結論とは? アクロバティックな推理が未曾有の興奮を巻き起こす現代本格の最高峰」という、あまりにも凄すぎる売り文句につられて購入。私は「現代本格の最高傑作」と呼ばれ…

 『北の夕鶴2/3の殺人』 島田荘司 光文社文庫

雪の釧路を舞台にした変な館で起こった殺人事件と「ゆうづる9号」で起こった殺人事件に吉敷竹史刑事が挑む長編ミステリ。 釧路にある変な建物「三ツ矢マンション」で起こった3つの殺人事件の方は、甲冑を着た鎧武者が出てきたりする不気味なモノ。解決編が島…

 『覆面作家の愛の歌』 北村薫 角川文庫

シリーズ第2弾。ミステリとしてもお話としても、一番出来がいいのは、表題作『覆面作家の愛の歌』だろうか。シェイクスピア好きな役者が出てくるミステリなのだが、電話のトリック(山村美紗が得意そう)を絡めた、上質の恋愛ミステリになっている。 読んで…

 『覆面作家は二人いる』 北村薫 角川文庫

『イリヤの空』の影響からか、恋愛ミステリが読みたくなったので、久しぶりに北村薫を読む。あいかわらず面白い。第1話とかちょっとチェスタトンぽいかな。見えない人とか。恋愛のほうもテンポがよい。 そういえば私は『空飛ぶ馬』の一連のお話は嫌いなのだ…

 『イリヤの空 UFOの夏 その4』 秋山瑞人 電撃文庫

素晴らしい。とにかく素晴らしい。この作品の感想など書きたくも無い。賛辞の言葉だけを述べよう。無駄な言葉は必要無い。とても面白かった。秋山氏に『よかったマーク』を100個ぐらいあげたい。もしかしたら、秋山氏は私の中で吉川英治を越えたかもしれない…

 『イリヤの空 UFOの夏 その3』 秋山瑞人 電撃文庫

素晴らしい。とにかく素晴らしい。1巻、2巻で中学生の日常をじっくりと描いていた物語がようやく動き出すという、起承転結で言えば『転』の巻にあたるのが本書だといえよう。 今回の見所はなんといっても、これまで情けない普通の中学生として描かれていた少…

 『イリヤの空 UFOの夏 その2』 秋山瑞人 電撃文庫

素晴らしい。とにかく素晴らしい。主人公とヒロインの初デートや、妹の成長や文化祭などの学校行事でフォークダンスなど今回も見所は多々ある。その中でも、今回は「バナナの皮」について語ることにしよう。 バナナの皮で滑って転ぶという、一昔前の漫画でし…

 『イリヤの空 UFOの夏 その1』 秋山瑞人 電撃文庫

素晴らしい。ただただ素晴らしい。「少年と少女が夜のプールで出会って〜」という、ただそれだけのお伽噺なのだが、非常に出来がいい。謎の転校生、クセの強い先輩、気の強い級友(女の子)、蓮っ葉な保健室の先生、生意気な妹、謎の男などなどありきたりな…

 『殺しへの招待』 天藤真 創元推理文庫 

5人の男に届いた妻からの殺人予告状。本命はそのうちの一人なのだが、それが自分ではないと言い切れない夫たちは、疑心暗鬼に陥りながらも対抗策に頭をひねる。サスペンスにあふれた良作。 最近の私のお気に入りの作家・天藤真の作品。とにかく面白い。ラス…

 『わらの女』 カトリーヌ・アルレー 創元推理文庫

犯罪に巻き込まれた女を描いて世界に衝撃を与えた傑作。新しい古典とも言われている売り文句がかっこいい。前半の主人公のヒルデガルデが、金持ちの老人をたらしこむあたりは純粋に面白い。男女関係が逆だが、シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』みたいに…

 『亜智一郎の恐慌』 泡坂妻夫 創元推理文庫

あの亜愛一郎のご先祖様の活躍を描いた短編集。ミステリとしてはあまりキレを感じないが、愛一郎のご先祖様ということで、白目をむいたり、回文をやったりして遊んでいたりするのが面白い。 ただ同じパターンが多いので、一気に読むとちょっと飽きるかな。