『ミステリアスキャッツ にゃあ!にゃあ!にゃあ!』 柘植めぐみ 富士見ミステリー文庫

 神社で起こった放火殺人と少女の失踪事件を扱ったミステリ。謎を解くのは5匹の猫の探偵団。それぞれが〈猫武術〉や〈猫霊媒〉などの特殊能力を使用して謎解きに当たる。
 タイトルのやけくそさに惹かれて購入。よりによってビートルズのパロディとは…。作者は何を考えているんだ。
 ミステリにとって一番大切な謎解きに力が入っていないので、あんま面白くなかった。霊媒で謎説きをするのは構わないから、も少しうまく料理してほしい。作者はヴァン・ダインが好きだといっているので、探偵役は薀蓄マンセーなのかと思っていたが、全然違った。ファイロ・ヴァンスみたいなウザい探偵が出てくるのをちょっと期待してたのに、素直なキャラが多いのが残念。
 あと内容は『ルドルフとイッパイアッテナ』みたいな猫たちの群像劇なのに、イラストが単なるネコミミキャラでしかないのはどうなんだろう。とりあえずネコミミ(つーか)猫が好きなら買いか。ミステリ野郎には全く勧められんが。しかし俺は一体富士見ミステリー文庫に何を求めているんだろう?