小説

 『血のごとく赤く』 タニス・リー ハヤカワ文庫

グリム兄弟ならぬグリマー兄弟の名を借りて、「ハーメルンの笛吹き」「白雪姫」「シンデレラ」などなど日本人にも馴染み深い童話を成人向けにアレンジした童話集。 糸車の錘に指されて100年間ねむり続けるお姫様の話である「いばらの森」が個人的ベスト。な…

 『真昼の悪魔』 遠藤周作 新潮文庫

金銭を目的とするわけでも怨恨からでもなく、純粋に悪とは何なのか? を確かめるために様々な犯罪に手を染める女医を描いた犯罪小説。「悪魔とは埃のようなものです。知らず知らずのうちに人の心にたまっていくのです」という神父さんの見解は実に鋭い。

 『クロック城殺人事件』 北山猛邦 講談社ノベルス

んん? これはカリオスト……ごめんなさい、なんでもありません。

 『推定相続人』 ヘンリー・ウェイド 国書刊行会

財産を相続するために2人の親族を殺そうと画策する道楽青年の視点から事件を物語った倒叙ミステリ。イギリスの法律に詳しければ、家系図を見ただけで、最後のどんでん返しに気づけるかもしんね。

 『悪魔のミカタ6・7番外編』 うえお久光 電撃文庫

もう何がなんだか。これまでの主人公がでてこない。そもそも時代が違う。。完璧超人な小鳥遊と2巻から5巻まで全く出番の無かったヒロインをちょっとクローズアップさせたかったんだろうけど、でもシリーズ物でこれをやる必要があったのかな。

 『森を抜ける道』 コリン・デクスター ハヤカワ文庫

新聞記事に掲載された一編の詩から女学生失踪事件の手がかりをモース警部が探り当てる。前半はともかく、後半がモース警部にしては地味な(というか真っ当な)推理になってしまうのがうーんなんだかなという感じ。 犯人の説得力も十分あるし、ラストでのサプ…

 『エドウィン・ドルードの失踪』 ピーター・ローランド 創元推理文庫

うい? ミステリだと思って読んでいたら最後でオカルトっぽくなってた。

 『忍法関ヶ原 山田風太郎忍法帖短編全集7』 山田風太郎 ちくま文庫

『忍法関ヶ原』…ホモはイヤ。とにかくイヤ。 『忍法天草灘』…本編よりも江戸時代の口語を記した資料である「懺悔録」のほうが面白い。その資料の使い方はうまいけど、全体としてはいまいち。 『忍法甲州路』…恐るべき秘術を持つ三人の忍びに打ち勝たんとして…

 『UMAハンター馬子 闇に光る目』 田中啓文 ウルフ・ノベルス

うわ、びっくりだ。あまりにもつまらなすぎる。「これまでのあらすじ」から漂ってくるフォローしようの無い地雷臭にフラフラと惹かれて読んでみたのだが、期待を裏切らないつまらなさ。これは俺が理解できないだけで本当は面白いのかもしれないと一瞬錯覚し…

 『悪魔のミカタ5』 うえお久光 電撃文庫

この1作で私はうえお久光が好きになった。身体能力で圧倒的に優れている相手に対して、如何にして勝つかということに念頭をおいたボクシングの一戦が実に熱い。グリム童話の「ルンペルシュティルツヒェン」から採ったと思われる知恵の実(その名も“レフトア…

 『魔法物語』 ヴィルヘルム・ハウフ 河出書房新社

「確かにパクッたよ。でも俺が書いた作品の方が面白いだろ」といったのはデュマ先生でしたっけ? 言い方悪いけれど、まあそんな感じの作品。デカメロンっぽく、偶然めぐり合った隊商たちが不可思議な話をして時をつぶすというお伽噺。『切り離された手の物語…

 『カリブ海の秘密』 アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫

「気のいいふわふわしたおばあさんのように見えていて、中身は全然そうじゃない」我らが詮索好きなマープルおばさんが療養中に出会った。マープルの右肩ごしに何かを見て驚愕する少佐、ホテルに集まる有閑人達、ぺちゃくちゃとおしゃべりばかりする登場人物…

 『半熟マルカ魔剣修行!』 ディリア・マーシャル・ターナー ハヤカワ文庫

騙された、タイトルに騙された。魔剣なんざ影も形も出てこない。原題「Of Swords and Spelles」やのに剣も魔法もでてこない。確かに作中に出てくるあれを魔法と呼ぼうと思えば呼べるけれども、俺が読みたかったのはそんなんじゃねえ。つうかこれ俺の苦手なSF…

 『武蔵忍法旅 山田風太郎忍法帖短編全集8』 山田風太郎 ちくま文庫

リリパットやブロブディンナグ、ラピュータなど不思議の国々を渡り歩いてきたガリヴァーセンセが忍法帖の世界に登場する『ガリバー忍法島』を読んだ。呆れ果てて何も言えない。『彦左衛門忍法盥』のストレートな人間批判で読後感が悪くなっていたのが一気に…

 『悪魔のミカタ4』 うえお久光 電撃文庫

知恵の実の絵解きがいまいち。与えられた情報が少なすぎるのに『パーフェクトワールド』の力を断定して、それの対抗策を考えるというのはちょっと冒険しすぎなんじゃないか、この主人公達は。あまりにもご都合主義臭いというかなんというか。人間が本来持っ…

 『かくれざと苦界行』 隆慶一郎 新潮文庫

無理だ。説明できねえ。読み終えてから1週間ほど経ったのだが、素晴らしいとしかいえない。

 『終戦のローレライⅠ』 福井晴敏 講談社文庫

まだ1巻しか読んでないからなんともいえないけど、これ女の子は出てくるんだよねえ。挫折したオッサンと鬱屈した少年という福井作品ではお馴染みの人達がでてきたんだから、絶対女の子でてくるよねえ。

 『撲殺天使ドクロちゃん5』 おかゆまさき 電撃文庫

なんでこれを真剣に読んでいるんだろうと今更になって思ってしまった。ちょっと自分が情けなくなってきた。 それはそれとして、4巻の修学旅行では華麗にスルーされていたサバトちゃんに今回はかなり出番があったのが多少想定外。彼女は読者からも作者からも…

 『新・世界の七不思議』 鯨統一郎 創元推理文庫

お願いですから静香さんはもうちょっと賢いところをみせてくださいよ。読解力に乏しい私にもわかるように。アナタ、優秀な学者という触れ込みのくせに、前作から単なる仮説の紹介しかしてないじゃないですか。

 『悪魔のミカタ3』 うえお久光 電撃文庫

和服のおねいさんをダセ、和服のおねいさんを。女子高生はどうでもいいから和服のおねいさんを登場させるんだ(ムスタファさんはお疲れのようです。そっとしておいてあげましょう)。

 『悪魔のミカタ2』 うえお久光 電撃文庫

1巻のころはこちらの読み方が拙く、作者の意図がきちんと汲めていなかった。1巻はアレだったけど(その意見を変えるつもりは無い)2巻は面白い。圧倒的な戦力を誇る殺人怪光線を操る少女と主人公との一騎打ちを期待しつつ、その対決が結局スルーされてしまっ…

 『絹靴下殺人事件』 アントニイ・バークリー 晶文社

駄目だ、楽しめなかった。解決編で探偵役のロジャーが採った、犯人の目前で犯人が行った犯行方法を再現し、犯人に心理的拷問を与えて、そこから自白を引き出すという力技な解決法はアリなのか? 証拠が無いから採用したとはいえ、ちょっとひどすぎるんじゃな…

 『猿来たりなば』 エリザベス・フェラーズ 創元推理文庫

猿を殺す動機付けが怨恨や保険金目当てのありふれたものではなく、もっと切迫した理由のために殺すというのがこの作品の肝なんだろうか。ずいぶんと動機に拘った作品だ。露骨に伏線が張られているんだが、解決編を読み終わるまでそれらに全く気づかなかった…

 『R.O.D 第二巻』 倉田英之 集英社スーパーダッシュ文庫

本を使ってテロリストとバトルを繰り広げる物語。敵キャラが馬鹿だ。いい感じに馬鹿だ。悪玉が本を人質にとる場面など笑うべきなのか手に汗握るべきなのか読んでいてよくわからんようになってしまうが。

 『R.O.D』 倉田英之 集英社スーパーダッシュ文庫

主人公が着ている内ポケットのついた白衣を俺も持ってりゃ便利だな。これがあれば新書もハードカバーも持ち運べるから、何時如何なる局面でも好きな本を読めるし。

 『華麗なる誘拐』 西村京太郎 徳間文庫

犯人側がIQ140以上と連呼される割には、作中の描写であまり賢そうにみえないのがちょっとなえるなあ……。アタマがいいんならそれを味も素っ気も無い数字じゃなくて描写やエピソードで示せてもらえるとありがたいんだけど。日本国民1億2千万人を誘拐したという…

 『世界の中心で、愛をさけぶ』 片山恭一 小学館

ヒロインがあんまし可愛くねえ。

 『ユリ迷宮』 二階堂黎人 講談社文庫

作中の二階堂黎人が二階堂蘭子に対して「そんなことに気がつくなんて、君はなんて天才なんだ」という描写が実にウザい。他の作家の作品では名探偵とワトスン役のこの様な馴れ合いは特に気にならないのだが、こと二階堂黎人の作品に限っては、この一連のやり…

 『旅の仲間上1』 J・R・R・トールキン 評論社文庫

せっかくの長期休暇中なので、これまで読みたい読みたいと思いつつ今まで放置してきた『指輪物語』を読み始めることにした。が、序章で早々と挫折した。ホビットについてやら、そのホビットたちが営む社会背景だのの詳細な描写に、どこぞのファンタジーオタ…

 『柳生刺客状』 隆慶一郎 講談社文庫

隆慶一郎の描く武士や遊女がどいつもこいつも魅力的なのはこいつらが真剣に遊ぶからだろう。「男が道ですれ違う女にもしも欲情したら、そいつはすぐに女に手を出しても良い。この場合、女性に拒否権は無いんだよ。ただし、男がその女と寝るためには男は女の…