2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧
今月は以下のような結果となりました。それにしても積読本(特に海外ミステリ)が全く減らない。むしろ増えている。何故だ? ちなみに今月読んだ本の中で一番面白かったのは森英俊の『ミステリ美術館』。一番面白かった表紙は高木彬光の『恋は魔術師』。 1. …
護衛艦《いそかぜ》をめぐって交錯する様々な国家・組織・男達の思惑。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞を受賞した福井晴敏の海洋冒険小説。 国語の時間に習う若山牧水の歌に「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよう」…
そもそもムスタファ(:Mustapha)とは語源がイスラームの開祖・マホメット(:Muhammad)にまで遡る事が出来るという大変由緒ある名前なのである。だからいつまでもハァハァとかぴるぴるとかアホなことばかり言っていたら罰が当たりますよと、そんなことを…
相変らずキャラクターが痛々しく、読んでいるのが苦痛になってしまうこのシリーズ。そんなもんが有っても無くても事件解決には何の貢献もしないミステリのお約束ともいえる館の見取り図やら読者への挑戦状やらが挟まれているのに元気付けられてなんとか読了…
福井の小説を読んでいて度々気になるのが、登場人物に己の思考(つーか嗜好)である自衛隊問題やら国防論やらをまんまトレースして、熱弁させてしまうことが多々あることだ。そういうのがすきなんだろうなあ、福井は。読者としては少々戸惑ってしまうんだけ…
1888年にロンドンで起こった5件の連続娼婦殺人事件と、1988年にベルリンで起きた連続娼婦殺人事件を扱ったミステリ。探偵役はクリーン・ミステリを名乗る謎の人。 全体の出来はいまいち。「何故切り裂きジャックが内蔵をグリグリするのか?」という動機づけ…
クリスティーの探偵役の一つにハーリィ・クイン氏という人がいまして、この人は相手に過去に起きた恋愛絡みの事件の話をさせ、自分はその人の話に相槌を打つだけで、積極的には何もしない。でも、いつのまにかその話し手自身が自分の力で事件の真相に気づか…
宍戸梅軒や吉岡清十郎・伝七郎兄弟、更には佐々木小次郎などの剣豪なんかよりも、お杉婆の執念の方が怖い。息子・又八のためという免罪符を手に、他者の迷惑を省みず、好き勝手暴れまくる姿は鬼としか言いようがない。非常に性質が悪い。
怪しげなおっさんや骸骨、乱れ飛ぶdeathやmurderの文字。コミカルなものからおどろおどろしいもの。そんな海外ミステリの様々なジャケットを460点も集めたという森英俊入魂の一冊。涅槃へ旅立ってしまった書物狂から「原書集めには興味がない、ミステリなん…
夏比古や有栖など島田潔並にアレな名前の登場人物たちが活躍するミステリ。『完全密室の死体』と『亜是流城館の殺人』との2編を収録。 キャラクターとか世界観とかは、読んでいて悲しくなってくる位ホントにどうしようもないんだが、トリックのアイデア自体…
処女作『スタイルズ荘の怪事件』から晩年の作品である『運命の裏木戸』まで、クリスティーの様々な作品を丁寧に紹介するエッセイ集。読んでいる間中、楽しくて楽しくて、顔がにやけっぱなしだった。ヤバイ。危ない人にしか見えない。 ちなみにわたしのお気に…
私はブルマよりもスパッツのほうが好きです。
酒を飲みつつ果てしなく与太話を繰り広げていくという西澤保彦のいつものアレ。後味極めて悪し。
“ミステリーファンの”とタイトルにはあるのだが、俺には全く楽しめなかった。
父・広忠の死や織田信長との交流、さらには今川家での人質生活から信長の父・織田信秀の死までを描く。全26巻の2巻目。1巻同様まだ家康が幼いからか、それともあまりにも脇役の個性が強すぎるからか、家康がいまいち目立たない。織田信長の方が主役なん…
本屋で立ち読みしていたら、貫井徳郎の簡潔にしてツボを押さえた解説がすばらしかったので購入。本を読んでいる時や本を探している時よりも、本を手に入れた後、自宅に帰るまでの道のりで「これは一体どんな話なんだろう?」とあれこれ考えているのが一番楽…
ミステリ界のこまったチャンとして有名な島田荘司の初期長編。メイントリックは島田荘司にしては案外おとなしい。『占星術』や『斜め屋敷』のようなお馬鹿さが足りない。ああいうのを期待していたから、本書の小粒感はちょっと不満だ。
冴えない男・ヒール氏の恋とその死を描いた物語。 まずはその文体(翻訳だけど)。心情描写を徹底的に排除した、その完璧な三人称視点は独特としかいいようがない。小説というよりもシナリオといった方がしっくりくる。また、余白を多くし、一頁当りの文字数…
ようやく更新再開。8月10日〜8月17日までに読んだ本の感想はそれぞれの日付の日記にUPした。さすがに14冊分は書くのがしんどい。寝みい。
表紙のイラストをみた時点でまず読む気をなくし、時折はさまれる挿絵にうんざりしながらも我慢して読んでいた。だが、この作品、中味自体は至って普通。プチ・荒俣宏みたいな名探偵の天地龍之介が主人公をつとめる謎解きミステリ。 計7編ほど収録されている…
クリスマス・パーティの舞台となる山荘で起こった連続殺人を扱ったサスペンス。会話文のテンポが良く、非常に読みやすいが、お話自体はたいした出来じゃない。岡島二人の著作の中ではレベルが低い方なのかな。まあ、とりあえず真夏に読むもんじゃねえ。
事件の犯人にして探偵、かつ事件の被害者でもある淡路瑛一による手記という体裁をとった都筑道夫初期の意欲作。 俺は今まで都筑道夫の小説は『名探偵もどき』ぐらいしか楽しめなかったんで、道夫さんとは相性が悪いと思っていた。だが、それは、ただたんに、…
スカーレット・パラソルと名乗る怪盗・愛梨が『ネクロノミコン』という希書を盗むため、数々の盗賊たちと死闘を演ずる。シリーズ二作目。まあ、お話し自体は取り立てて云々する箇所はない。ただ一点、爆弾男爵と名乗るキャラクターが私は非常に気に入った。…
前作『殺意は砂糖の右側に』とほぼ同一形式の短編集。時折はさまれる豆知識(吉永小百合のファーストキスの相手は三木のり平であるとか)の方が本編の殺人事件なんかよりも面白かった。 私のお気に入りは表題作『幽霊船が消えるまで』。この作品の大掛かりな…
東野圭吾の長編ミステリ。何一つとして印象に残らない作品だった。
次々と起きた6件の殺人の共通点を探すというミッシングリンク物のミステリ。仕掛け自体は強引な大仕掛け。『ABC殺人事件』の発想を更に推し進めると、こういう風になるんかな。 相変わらず岡島二人の文章は会話のテンポが良い。綾辻に代表される新本格組や…
ピートさんやらラベンダーやらデロリアンやらと多分同じジャンルに分類されるタイムトラベル物。本書は「ミステリファン必読の書」と呼ばれているらしいんで読んでみた。 全ての出来事がラストにへ向かって収斂していく様は確かに見事としか言いようがない。
はじめに言っておこう。これは人生に挫折した人間のための物語だ。東馬の無駄に規模のでかい親子喧嘩とか、理沙と護の恋愛ごっことかは正直どうでもいい。若い頃の事故でヘリコプターに搭乗出来なくなったパイロットが、再び大空を目指して飛び立とうと頑張…
濃霧の中でおきた殺人事件を扱った話。二人しか人が死なねえ。物足りない。もっと死ねよ。 フロスト警部を読んだ直後だったせいか、「誰がラウールを殺そうがどうでもいいんじゃい、ボケがっ」などとブツクサブツクサ言いながら読んでいた。ありきたりな尋問…
好評のフロスト警部シリーズ第3弾。欠員で大急がしのデントン警察署での狂乱の1週間を描いた物語。連続老婆切り裂き犯の名前とか放火犯の名前とかは(それどころかどんな事件が起こったのかさえ)、もうきれいさっぱり忘れているのだが、フロスト警部の下…