『プレイバック』 レイモンド・チャンドラー ハヤカワ・ミステリ文庫

 私がまだガキだったころ、チャンドラーの作品は中学生のポエムだと馬鹿にしていたことがあって、長いことチャンドラーは好きではなかった。だが最近は、かっこつけているだけのチャンドラーのキャラたちが、非常に魅力的に思えるようになった。年齢を重ねて私も成長したのだろうか。
 本書はあの『長いお別れ』から4年後に描かれたチャンドラーの遺作らしい。前作に比べれば地味な作品だが、私は気に入った。ラストのリンダ・ローリングがよい。