『招かれざる客』 アガサ・クリスティー ハヤカワ・ミステリ文庫

 一人の男が道に迷い、電話を貸して欲しいといって、とある屋敷にやってきた。しかしその男が見たのは、書斎に転がっているその家の主と、死体のそばで拳銃を握り締めている一人の女性だった。彼は女性を救うためいろいろと細工をするが……。
 クリスティーの戯曲としては『ねずみとり』が一番有名なのだろうが、この作品も中身だけなら決して負けてはいない。書斎に転がっている死体や美しい未亡人、怪しげな男性などお馴染みの道具立てだが、そこら辺に転がっているやつとは出来が違う。ラスト50頁ほどで二転三転するというミステリファンにはたまらない作品。