『わらの女』 カトリーヌ・アルレー 創元推理文庫

 犯罪に巻き込まれた女を描いて世界に衝撃を与えた傑作。新しい古典とも言われている売り文句がかっこいい。前半の主人公のヒルデガルデが、金持ちの老人をたらしこむあたりは純粋に面白い。男女関係が逆だが、シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』みたいに小気味よい。気の強い女性が活躍してて非常によい。
 惜しいことに後半の犯罪を扱った方は、前評判の割には大して面白くない。「志村、うしろうしろぉ」みたいな感じで、読者にネタがばればれなため、緊張感が全く無い。読んでいて驚きが無いのが、マイナスポイントだと思う。正直タルイ。
 ミステリとしてはたいして面白くなかったが、恋愛小説としては面白かった。