『徳川家康(2)獅子の座の巻』 山岡荘八 山岡荘八歴史文庫

 父・広忠の死や織田信長との交流、さらには今川家での人質生活から信長の父・織田信秀の死までを描く。全26巻の2巻目。1巻同様まだ家康が幼いからか、それともあまりにも脇役の個性が強すぎるからか、家康がいまいち目立たない。織田信長の方が主役なんじゃないかと読んでいて度々疑問に思ってしまう。
 多分、山岡荘八の『徳川家康』は『アーサー王と円卓の騎士』みたいなノリで楽しめばいいんじゃなかろうか。一応主役はアーサー王だけど、メインを張るのはランスロット卿やガウェイン卿の恋愛や戦争ですよ、みたいなそんな感じで。
 主の身代わりを果たして死んでゆく本田平八郎忠豊。「愛するものよ、死に候え」と言いながらお春を殺す八弥。織田信広と家康との人質交換の際に見事な立ち回りを演じる大久保新八郎忠俊…。キャラ立ち過ぎですよ、キミら。チョイ役のクセに。
 また、本書では女性陣の於大を筆頭にした、恋愛がそのまんま戦に直結しているという、文字通り命懸けの恋が楽しめる。
 登場キャラがこれからどんどん増えていくのかと思うと、登場人物一覧表が欲しくなってくる。5頁位の。間を空けて読むから結構忘れてしまう。