『PuZZler パズラー』 西澤保彦 集英社

 本屋で立ち読みしていたら、貫井徳郎の簡潔にしてツボを押さえた解説がすばらしかったので購入。本を読んでいる時や本を探している時よりも、本を手に入れた後、自宅に帰るまでの道のりで「これは一体どんな話なんだろう?」とあれこれ考えているのが一番楽しいんだということにようやく気づいた。自分の知らない話に対する期待感とかそんなんで。
 母親に対する不信感、自分勝手な男性、不倫やレイプ、韜晦した少年、皮肉な結末等々を小道具にしつつ、ミステリの部分は「マリー・ロジェ事件」あるいはデクスターのような(By貫井徳郎)仮説の上に仮設を重ね論理展開を進めていくという、いつもどうりの西澤保彦の短編集。
 この出来なら2000円払ったとしても損はしない。