『川の深さは』 福井晴敏 講談社文庫

 福井の小説を読んでいて度々気になるのが、登場人物に己の思考(つーか嗜好)である自衛隊問題やら国防論やらをまんまトレースして、熱弁させてしまうことが多々あることだ。そういうのがすきなんだろうなあ、福井は。読者としては少々戸惑ってしまうんだけど。
 キャラクターの思考がみんなほとんど同じだということを除けば、この作品は純粋に楽しめる良く出来たエンターテイメントだと思う。