『私のギリシャ神話』 阿刀田高 集英社文庫

阿刀田高によるギリシア神話入門書。文庫本という体裁のため色々なところをはしょってはいるが、ギリシア神話の主要なエピソードは大体収めている。新潮文庫から出ている『ギリシア神話を知っていますか』と内容はほとんど同じなのだが、こちらはイラスト(…

 『本格ミステリこれがベストだ!2004』 探偵小説研究会編著 創元推理文庫

歌野晶午の『葉桜〜』を代表に2003年に出版されたミステリに対する評論を収めた本。ネタバレが非常に多いので書評を読むときは注意が必要。 あと笠井潔と鷹城宏の『本格ミステリ往復書簡2004』が非常に退屈。10年前、20年前のオタク共が散々語りつくした…

 『スペインの食卓から』 おおつきちひろ 講談社文庫

前半は著者がスペインへ旅行したことの体験記。全然楽しくない。近所のおばちゃんの自慢話とたいしてちがわないレベル。 ただ後半からスペイン料理の話題になってくる。これがめちゃくちゃ旨そうに描写されてる。写真もついてりゃ完璧だ。後半をご飯前に読ん…

 『堕落論』 坂口安吾 角川文庫クラシックス

当時の若者に絶大な人気を誇ったという安吾の『堕落論』。戦後すぐに書かれたエッセイのクセに古臭さがあまりない。すげえ。 どのエッセイもチェスタトンばりの逆説と、坂口安吾の人の悪さが楽しめて中々面白かった。ちなみに私のお気に入りは『エゴイズム小…

 『ケルトの島・アイルランド』 堀淳一 ちくま文庫

ケルトの様々な地方を旅した著者の旅行記。著者自身の手によるイラストが結構楽しい。

 『金田一耕助 日本一たよりない名探偵とその怪美な世界』 メディア・ファクトリー

ごっ、ごめんなさいですうぅ。買う気はなかったんですうぅ。ただ本を開いた瞬間、あの有名な映画のあのシーンが丸ごと載っていたので思わず手をだしてしまったんですうぅ。金田一耕助の事を詳しく知れたので、サバトは私は非常に楽しかったですうぅ。

 『グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想』 アルマ・マーラー 中公文庫

小栗虫太郎の『完全犯罪』や笠井潔の『バイバイ、エンジェル』でも使われ、ミステリファンにも馴染み深い作曲家・マーラー。そんな彼の奥さんだったアルマ・マーラーが当時を思い出して書いたマーラーの回想録。 前半では恋人時代のエピソードを中心に一緒に…

 『翻訳者の仕事部屋』 深町眞理子 ちくま文庫

ミステリーも含めた幅広い分野で翻訳の仕事を手がける深町氏のエッセイ集。文章の呼吸が素晴らしい。エッセイだけでなく巻末の「フカマチ式翻訳実践講座」では、理論ではなく体験から氏が培ってきた翻訳のコツを教えてくれる。さらに氏が今までに翻訳してき…

 『中世への旅 騎士と城』 ハインリヒ・プレティヒャ 白水社

最近、中世騎士物語について色々と興味がわいたので、ドイツの高校生の教科書としても使われている本書を購入した。イラストが非常に豊富で観ているだけでも楽しくなってくる。 本書の内容は中世の(主にドイツの)騎士の生活を描いたもの。城での生活や食事…

 『Quick Japan Vol54』

冲方丁のインタビューが読みたかったので、元さんに頼んで買ってきてもらった。乙一と冲方との対談では知らない作品ばっか挙げられているのだが、結構楽しかった。特に池波正太郎の『剣客商売』が挙げられていたのが良かった。佐々木三冬は本当に素晴らしい。…

 『本格一筋六十年 想い出の鮎川哲也』 山前譲編 東京創元社

積読本を処理しようということで長いこと置いといたこれを読む。鮎川哲也への追悼文が百人分載っている。「お気に入りの作家が死んでしまった」と嘆いている山口雅也のやつが特に印象に残っている。

 『J’sミステリーズKING&QUEEN』 荒地出版社

帯によると『史上最強のベストミステリ作家読本』ということらしい。作家紹介が充実している。まあ、お馴染みのメンバーなので新鮮味は全くない。 また巻頭の折原一と北村薫の対談を読んでいて気づいたのだが、私と折原一とはミステリの趣味があわないようだ…

 『1億人のためのミステリー!』 友情哲 ランダムハウス講談社

沖方丁のインタビューが読みたくて購入。ミステリ初心者へのガイドブックとして本書は企画されたらしい。が、頁数の割りに価格が高いと思う。どう考えても初心者は手に取らないんじゃないか、この値段だと。 あと『ライトノベルを見逃すな!!』という章があ…

 『本格ミステリー館』 島田荘司&綾辻行人 角川文庫

島田荘司がミステリーや文学や新本格についてひたすら熱く、熱く、熱く語ってくれる本。本書147頁の「だって、夜中に通りを光る巨人が歩いていたら面白いじゃない」という島田のセリフが彼の物の観方全てを表しているような気がする。 1991年時点の対談なの…

 『日本の名随筆 別巻⑦ 奇術』 泡坂妻夫―編 作品社

奇術に対する様々なエッセイを集めた本。泡坂妻夫の作品はポルノ描写が非常に多く、あまり好きな作家ではない。ただ、奇術に対する愛には読んでいて感心させられる。そんな奇術に対する愛がいっぱいつまった随筆集。ミステリ好きが読んでも面白かった。

 『古本夜話』 出久根達郎 ちくま文庫

古本屋の主人が書いた古本エッセイ。わたしが最も気に入っているエピソードは『赤い糸』。戦時中に学徒出陣した本好きの青年が、古本屋に文学書の棚の目録を送ってもらい、それを見て本の姿を想像して楽しむという話。この話はいい。

 『妖精の国で』 W・アリンガム ちくま文庫

妖精のイラストと詩が載っている本。とにかくイラストが可愛らしい。このイラストを描いているのが、”妖精国の宮廷絵師”と呼ばれるリチャード・ドイルという人なのだが、この人はあのコナン・ドイルの甥だそうだ。

 『誰が、いばら姫を起こしたのか』 I・フェッチャー ちくま文庫

発表の順は逆だが、鯨統一郎のデビュー作『邪馬台国はどこですか?』みたいな作品。今となっては古いネタも多々あったが、そこそこ面白かった。

 『グリム童話(下)』 池内紀・訳 ちくま文庫

内容を一応紹介しておく。お馴染みの『白雪姫』やら『いばら姫』などのお話が載っている。基本的に人が死ぬ話が多い。またディズニーみたいなつまらない説教臭はない。おちがない話もある。あとがきはつまらない。 ようやく気づいたのだが、俺はファンタジー…

 『ミステリ・ハンドブック アガサ・クリスティー』 ディック・ライリー&パム・マカリスター編 原書房

クリスティーの著作の詳細なあらすじが載っているので、「あの作品のストーリーってなんだったっけ?」というときに非常に使える。序文にはネタバレ無しとうたっているが、微妙にネタをばらしている箇所がある。まあ全体から見れば些細なことなので、この本…

 『ミステリマガジン1990年10月号』 早川書房

雑誌を読む習慣はないのだが、この号は「クリスティー生誕100年記念」ということで購入。クリスティーの特集がのっている。ミステリ作家や評論家に混じってあの羽生善治もエッセイを書いている。エッセイで一番面白かったのが数藤康雄氏の『毒殺魔、クリステ…

 『名探偵ポワロの華麗なる生涯』 アン・ハート 晶文社

アガサ・クリスティーの生んだ名探偵エルキュール・ポアロの伝記。世の中には暇な人もいる。初登場の『スタイルズ荘』から『カーテン』までのポアロの活躍をまとめている。 私が一番面白かったのは、第15章『ポワロの探偵術』。ここでは実例を挙げつつポアロ…

 『〈三国志の謎〉徹底検証 諸葛孔明の真実』 加来耕三 講談社文庫

三国志のエピソードを書いた本。三国志は“お話”としてそれ単体で十分面白いのに、なぜ劉備を包容力のある上司とか曹操をワンマン型の社長などと、現代社会に置き換えて説明するんだろうか。気に入らない。

 『マザー・グース 4』 訳 谷川俊太郎 講談社文庫

“だれが駒鳥殺したの?”や“10人の黒ん坊”など人殺しの童謡がたくさん出てくる。非常に楽しい。

 『ミステリーを科学したら』 由良三郎 文春文庫

医学博士でミステリーも書いている著者のエッセイ集。捕物帳の面白さを語ったり、ミステリーの医学的なミスをだらだらとあげつらったり、毒薬の致死量などを人体実験できないのが残念だと嘆いていたり、とにかく読んでいて楽しい1冊。やはりミステリーの魅力…

 『無人館8 リチャード・ダッド』 岩崎美術社

1843年、26歳の時に父親を変装した悪魔だと思い込み刺殺した狂気の画家リチャード・ダッドの画集。彼の代表作は『対立・オベロンとティターニア』と『お伽の樵の入神の一撃』。ダッドは妖精の絵で有名だが、風景画も結構描いてる。 『お伽の樵〜』にはオベロ…

 『世紀末探偵倶楽部』 四谷シモーヌ 太田出版

かの名高き名探偵シャーロック・ホームズの漫画版。『三人ガリデブ』『ボヘミアの醜聞』他一本を収録。ただし18歳未満閲覧禁止の女性向。ホームズとワトスンの熱いヴェーゼは当たり前。ホームズがワトスンのモノをしゃぶったり、突っ込んだり、突っ込まれた…

 『ヤミツキ!探偵ミステリー読本』 D・C・L編 ぶんか社

『アンダーメフィスト世代の探偵小説ガイド』としてメフィスト賞以降の作家40人+それ以前の作家10人を紹介している。 『心に効く癒し系不思議本格ミステリー・高里椎名』や『中毒にかかったらもはやあなたは抜け出せない!・浦賀和宏』等等キャッチコピー…

 『人間臨終図巻Ⅰ』 山田風太郎 徳間文庫

15歳から55歳までの臨終の場面を描いたもの。キリストからジョン・レノンまで多彩な人物を幅広くカバーしている。私が一番印象に残っているのが小栗虫太郎の章。とりあえず人が死ぬ場面が好きな人にはお勧めの1冊。

 『恋する伊勢物語』 俵万智

私は中学や高校での古典の授業が大嫌いだったのだが、『伊勢物語』の第9章『東下り』の話は好きだった。厨房だった私は万葉集に収録されている素朴な歌が大嫌いだったので、『伊勢物語』に収録されている枕詞あり、序詞あり掛詞あり、縁語あり、おまけに折句…