『カリブ海の秘密』 アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫
「気のいいふわふわしたおばあさんのように見えていて、中身は全然そうじゃない」我らが詮索好きなマープルおばさんが療養中に出会った。マープルの右肩ごしに何かを見て驚愕する少佐、ホテルに集まる有閑人達、ぺちゃくちゃとおしゃべりばかりする登場人物たちとどうにも既読感が否めなかったんだが、よく考えたらマープルさんが登場するのは全部そんな話やん。殺人を未然に防ごうとするミス・マープルが健気。
『魔法物語』 ヴィルヘルム・ハウフ 河出書房新社
「確かにパクッたよ。でも俺が書いた作品の方が面白いだろ」といったのはデュマ先生でしたっけ? 言い方悪いけれど、まあそんな感じの作品。デカメロンっぽく、偶然めぐり合った隊商たちが不可思議な話をして時をつぶすというお伽噺。『切り離された手の物語』が多少『幻の女』っぽかったかな。
『UMAハンター馬子 闇に光る目』 田中啓文 ウルフ・ノベルス
うわ、びっくりだ。あまりにもつまらなすぎる。「これまでのあらすじ」から漂ってくるフォローしようの無い地雷臭にフラフラと惹かれて読んでみたのだが、期待を裏切らないつまらなさ。これは俺が理解できないだけで本当は面白いのかもしれないと一瞬錯覚してしまうぐらいしょうもなかった。現時点では今年度のワースト作品最有力候補。