『ハネムーンの死体』 リチャード・シャタック 創元推理文庫

 新婚夫婦がちょっとした勘違いから死体を発見してしまい、それをめぐって大騒ぎをするユーモアミステリ。西澤保彦の『彼女が死んだ夜』やクレイグ・ライスの『大あたり殺人事件』なんかと雰囲気が近い作品。
 人が一人死んでいるのにひたすらふざけ続ける登場人物たちの軽いノリがとにかく楽しい。「お前らもうちょっと真面目にやろうぜ」と思わずツッコんでしまう。トランクス一丁で犯人を逮捕しようと街中を駆け回る主人公(一応猥褻罪で捕まりるけど)が登場したりと、基本的にドタバタだけでお話が展開していく。手に汗握るサスペンスとかは全くないが、ひたすら明るいこのノリは結構好きだ。
 解説の森英俊によると作者リチャード・シュタックは長編をほんの4,5作発表しただけで、あまり活発な活動はしなかったらしい。多分あんま売れなかったんだろう、可哀相に。