『悪魔のミカタ 魔法カメラ』 うえお久光 電撃文庫

 本書では《みすてりいサークル》の面々が第一の殺人事件(学校の朝礼という大勢の人間が見ている最中に殺された体育教師の事件)を検討するシーンがある。だが、彼らは肝心なことに全く触れていない。「魔法のカメラがど−のこーの言う前に確認すべきことがあるだろう。なんでやんないんだ」と俺は読んでいてずっと疑問に思っていたら、それが事件のポイントになっていたので、「フザケンナ、クソが」と、昨日はそこんとこでブチ切れた。
 100年前にこのネタをやってもらうんならまだいいけどね。いまさらこれをやられても読む気失せるよ、俺は。キャラクターに魅力を感じられんのは、俺個人の嗜好ということでまあ勘弁できるが、ミステリとしてお話になっていないのには、正直我慢がならない。ファンタジックミステリーだろうがトラベルミステリーだろうが新本格だろうが社会派だろうがここは譲れない。アホな感想ばかり書いているが一読者として、私はここにはこだわっている。
 まあ、作者もあとがきで言っているように、これはミステリとして読むよりも、平凡な男子高校生が活躍するぬるい学園物として読んだほうがいいんだろう。