『寝台特急「はやぶさ」1/60の壁』 島田荘司

 私は吉敷刑事のキャラクターがあまり好きではなかったので吉敷物は敬遠していたのだが、暇な間に積読本を処理しようと本書を読んだ。

 裸の女性が顔を剥ぎ取られて殺されているのが被害者の自宅で発見されるが、その女性は死亡推定時刻には列車「はやかぜ」に乗っていたという不可思議性の高い作品。80年代に書かれた小説なので古臭い描写は多々あるが、ミステリの面白さとしては少しも古びていない。ただ表紙の女性と列車の絵はオッサンぽくて好きになれない。ちなみに本書で一番印象に残ったのは「松本のフォルクス・ラーメンがうまい」ということである。