『湖底のまつり』 泡坂妻夫

 香島紀子は地方の村へ旅行に行き、そこで埴田晃二と言う人物と出会い恋をする。が、その人物は翌朝には消えてしまう。紀子が村人たちに聞いてまわると埴田なる人物は1ヶ月前に殺されていたことがわかる。では紀子が出会った人物はいったい誰だったのか?

 私の苦手な濡れ場が序盤から終盤まで出てくるが面白い小説である。特に序盤の濡れ場に出てくる『あなた、やわらかだわ』というセリフにはしびれた。濡れ場をミステリに結びつける作者の手腕は素晴らしい。ただダムに関するネタ(日本式の治水方法の欠点や西洋式ダムの利点)をもう少し詳しくやってもらえるとありがたかった。