2004-02-02から1日間の記事一覧

 『アリスの国の殺人』 辻真先

主人公・綿畑克二がアリスたちがいるワンダーランドで起こったチェシャ猫の密室殺猫事件に関わる章と、彼の上司の明野重治郎が殺された事件に関わる章とで構成された傑作ミステリ。 ミステリとしては題名に恥じない出来となっている。とくに287頁のとある人…

 『明日天気にしておくれ』 岡嶋二人

説明の必要が無いほど有名な競馬を舞台にした誘拐ミステリー。トリックに前例があったためと諸般の事情により江戸川乱歩賞は受賞できなかったものの、中身は絶品である。岡嶋二人の作品の魅力は80年代に書かれたものなのに、古臭さを感じないことだ。 例えば…

 『豆腐小僧双六道中〜本朝妖怪盛衰録〜』 京極夏彦

「そんなにお前は妖怪が好きなのか、京極?」という一冊。江戸時代に人気のあった妖怪・豆腐小僧がさまざまな妖怪と出会うというお話。中島敦の『悟浄出世』なんかをイメージしてもらえればわかりやすいと思う。あれみたいに豆腐小僧が「自分という妖怪はい…