『誰もがポオを愛していた』 平石貴樹 創元推理文庫

 エドガー・アラン・ポオの作品になぞらえて起きた連続殺人事件をニッキ・サラシーナが鮮やかに解決する長編ミステリ。犯人は何故『アッシャー家の崩壊』、『ベニレス』それに『黒猫』といったポオの作品に見立てて人を殺していったのか?という謎が本書の見所。『アッシャー家の崩壊』を題材にしたミステリ論が物語そのものに深く関わってくるという構成が見事。これほど解決編を読むのが楽しかった謎解きミステリも久しぶりだ。