『真田太平記(七) 関ヶ原』 池波正太郎 新潮文庫

 前半は上田城に徳川軍3万をひきつけ、関ヶ原到着を遅らせた真田昌幸・幸村の奮戦を、後半では関ヶ原当日の合戦模様を描いた巻。
 上田城に篭城した真田親子だけでなく真田の忍びの者たちによる家康本陣への特攻や真田信幸・本田忠勝による真田親子の命乞いなど真田一族大活躍で、それに加えて、石田本軍の健闘や大谷形部の討ち死、島津の退却戦など西軍も完璧にカバーして見所満載で、よくもまあ1巻にこんだけ詰め込んだねという充実ぶり。
 中でも草の者達による家康本陣突撃が良い。名も無い忍び達の突撃だけでこれほど読者が興奮するのなら、大阪夏の陣での真田幸村による突撃は一体どうなるんだ。どんな風に書いたんだ、正太郎。気になるじゃないか。今すぐにでも11巻目を読んでしまいたいというこの誘惑を一体どうやっておさえつければいいんだ、俺は。