『海のオベリスト』 C・デイリー・キング 原書房

 船の上で衆人環視の中、銃声が三発起こり、一人の男が倒れた。事件を解決しようとした船長は偶然乗り合わせた4人の心理学者達に応援を頼む。
 本書のウリは多人数による推理方法のを楽しむべきなんだろうけどちょっと長い。しかも、その肝心の心理学者たちの多重推理が作者に捨て駒扱いされているのが丸わかりな構成もちょっと残念。おまけに犯人よりも探偵の方が意外だしね、コレ。
 この作品は巻末付録の伏線一覧を本文と照らし合わせてニヤニヤ出来る人には楽しめるだろうけど、それ以外の人にとっては面白くもなんともないだろうな。かなり読者を選ぶ作品やね。とりあえずこんな読者層の少なそうな本を書いた作者と、こんな本をわざわざ出した出版社に拍手。なんだかんだ言って俺は楽しめたし。