『本格ミステリ04』 本格ミステリ作家クラブ編 講談社ノベルス

 毎年恒例となっているアンソロジー。去年とは異なり、基本的にどの作品も(2,3の例外を除いて)楽しめた。ただ今年は評論が少なかったのがちょっと不満だったかな。まあ評論の方は『本格ミステリこれがベストだ!2004』で補完しといたから別にいいや。んじゃ、以下一つずつ適当に感想を。

  • 『眼前の密室』…おじさんを書くのが非常に達者な横山秀夫の作品。このレベルの作品が供給され続けるんなら、俺はこれからも国産ミステリを楽しめる。あと最低10年は大丈夫だ。
  • 『Y駅発深夜バス』…決してつまんなくは無い。ただインパクトが無い。
  • 『廃墟と青空』…省略。
  • 『盗まれた手紙』…法月綸太郎大先生には是非とも海外ミステリの翻訳をやって頂きたい。
  • 『78回転の密室』…取材力には定評がある芦辺拓の短編。それにしても、芦辺拓はデビューして10年以上経つ作家とは思えないほど読みにくい文章を書きやがる。読者に喧嘩を売っているとしか思えねえ。
  • 『顔の無い敵』…面白い。地雷の使い方がいい。
  • 『イエローロード』…俺、コレ嫌い。
  • 霧が峰涼の屈辱』…スクワット・コール(広島カープ応援団のアレ)が非常に面白かった。個人的にはこのアンソロジーのベスト。
  • 『筆合戦』…大満足。
  • 『憑代忌』…推協賞を受賞した『花の下にて春死なむ』の時にも思ったのだが、北森鴻の作品は一体どこが面白いんだ?さっぱり分からない。
  • 『走る目覚まし時計の問題』…これは短編集が出たら多分買う。ありきたりだが俺はこのタイプのミステリには弱い。
  • 『ブラッディ・マーダー(以下略)』…だからさ、『薔薇の名前』を文庫化しようよ、いい加減に。何年待ちゃいいんだ。