『木曜の男』 G・K・チェスタトン 創元推理文庫

 一人の男がとある秘密組織に潜入して、「日曜の男」と呼ばれる強敵を倒そうとして奮闘するという週刊少年ジャンプみたいなストーリー。
 チェスタトン唯一の長編ミステリというのがこの本の売り。ただ、チェスタトンお得意の《逆説》というのは、やはりブラウン神父モノに代表される短編の形式でこそ生きるのであって、長編ではさすがに切れがなくなってしまい、インパクトが薄れるということを改めて認識した。
 あと訳がへなちょこなので非常に読みにくい。60年代以前に翻訳された文章なので致し方ないが、いい加減改訳して欲しい。改訳しても売れないんだろうけどさ。