2004-10-26から1日間の記事一覧

 『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎 新潮文庫

「ぼくらの時代の新しい文学」などと伊坂幸太郎が紹介されていて、その時点で読む気が40%位失せた。もちょっと真面目に仕事しようよ、編集部。給料もらってんだしさ。 で、読み始めてすぐに気づく。「うわ、これ浅暮の「ダブ(エ)ストン」みたいな物語じゃ…

 『真田太平記(四) 甲賀問答』 池波正太郎 新潮文庫

今回のメインは忍び達。お江を代表とする真田の草の者たちと豊臣家に仕える甲賀忍者達との死闘が描かれる。己が肉体を極限まで鍛え上げた者たちの騙し合い、殺し合いが熱い。山風の忍法帖とはベクトルがちがうが、これはこれで楽しめた。

 『平井骸惚此中ニ有リ 其参』 田代裕彦 富士見ミステリー文庫

二作目と比較してミステリー色を弱め、ラヴ成分を強くした模様。誘拐事件と殺人事件が起こるのだが、両者ともシンプルすぎる、容疑者が少ないから選択肢自体が限られてしまう。もうちょっと何とかして欲しかった。編集部の都合もあるのかもしれないけど。 参…

 『かげろう忍法帖』 山田風太郎 ちくま文庫

風太郎忍法帖の世界に浸る。 出てくる忍法は馬鹿馬鹿しい。でも登場する忍者たちがどいつもこいつも必死なので、読んでいて何故か泣けてくる。こいつらは生きているんだなというのがようく伝わってくるから。頭が生えてくるやら生け造やら、忍法はホントに馬…

 『月の砂漠をさばさばと』 北村薫 新潮文庫

オレは人が死ぬ小説を読んでへらへらと笑っているという自他共に認める下衆野郎なのだが、それでもこの小説を読んでいる間だけは、間違いなくオレは善人になれる。そんな気がする。それ位読む者を心地良くさせる小説。こんなに居心地の良い作品を読むのは久…