『武王の門(上巻)』 北方謙三 新潮文庫

 日本が二人の帝を擁していた南北朝の時代。動乱のそもそもの元凶となった後醍醐帝も既に無く、京で南朝が力を削がれていく中、後醍醐帝の皇子である懐良親王は九州統一を目指して動き出す。自分は何をするべきかに疑問を持っていた懐良だが、九州を統一していく過程で、やがて壮大な夢を抱くようになる。武士を蔑ろにする父とは異なるその理想とは……。
 山田風太郎の『室町お伽草紙』にケチをつけた時に、「そいなら北方謙三を読みなせえ」と教えてもらったので読んでみた。女性がオプションというかアイテム扱いなのだが、そこをギャグとして割り切ってしまい、懐良と菊池武光との熱い友情とロマンとに焦点をしぼって読むとなかなか面白い。南北朝時代、それも九州地方とくれば全く馴染みがないので、江戸時代や戦国時代を描いた歴史・時代小説に比べれば新鮮味がある。そのかわりに馴染みのない、読めない漢字がダラダラとでてくるのは結構辛かった。勉強不足やねえ。
 そんでこっから本の感想とは関係なくなるんだけど、この間まで確かに部屋にあったはずの下巻がどこに置いたかわからなくなってしまった。続きが読めねえよ。