『黄金の壷』 ホフマン 岩波文庫

 日々を無為に過ごすダメな大学生・アンゼルムスは接骨木(にわとこ)の樹のそばで美しいゼルペンティーナと出会い、恋に落ちる。魔法使いの婆さん・ラウエリンと戦い、恩師・パウルマン教授の助言をも無視し、ヴェロニカとの結婚という現世での出世さえも捨てて、アンゼルムスはゼルペンティーナとアトランティスで幸せに暮らす。そういう話。
 ミステリにも飽きたんでファンタジーを読もうぜ強化月間スタート。第一弾はそのロマン派的怪奇性がポオに影響を与えたともいわれるホフマンの『黄金の壷』から。内容は他愛のない異類婚姻譚。まあ、可もなく不可もなく。昔話なんかだと人間と化物との恋愛は破局を迎える事の方が多いのだが、これはハッピーエンドで終わっている。
 とりあえずアンゼルムスみたいな貧乏で優柔不断なダメ大学生がもてるわけがないよ。こんないいかげんな奴がもてるなんてありえないよ。世の中間違っているよ。絶対に嘘だよ。俺はこんな話にはダマサレナイヨ。出会いなんてあるわけがないんだよ。