『死角に消えた殺人者』 天藤真 創元推理文庫

 車に乗って崖から転落死した4人の男女。彼らには生前接点となるような交友関係は全くない。社会的地位、年齢とどれもがバラバラなのだ。警察は被害者4人のうちの誰か一人に恨みのある奴が犯人だろうと目星をつけて、捜査を開始する。しかし、その後の捜査で、4人の内の誰一人として、殺されるような動機を持つ者はいなかったことが判明する。


 奇抜な設定&真面目なくせにどこかふざけたキャラクターが活躍するという非常に天藤真らしいミステリ。犯人の立てた殺害計画がちょっと胡乱過ぎるキライがあるが、その分、解決編の意外性は申し分ない。被害者四人に誰一人として殺されるような動機が無かったと判明する第21章がこの作品のハイライト。
 天道真の他のミステリが好きなら、読んでおいて損はない。