『九時から五時までの男』 スタンリイ・エリン ハヤカワ文庫

 過剰な老齢人口に悩む世界を描いた『ブレッシントン計画』、蚤の世界の愛憎劇を描いた『蚤をたずねて』、死刑執行人vs跡継ぎ息子との問答が熱い『倅の質問』など人間の悪意を描いた10の短編を収録。
 こういう『奇妙な味』を売り物にした作品は星新一や『キノの旅』同様、間を空けて読むとかなり面白い。まあ、続けて読んだら結局飽きてしまうんだがね。
 ベストはやっぱり『倅の質問』かなあ。18頁の小品ながらラストの一行が非常に印象的。今年読んだ本の中で最も印象に残るラストかもしれない、これは。