『宮本武蔵(二)』 吉川英治 吉川英治歴史時代文庫

 この吉川英治の『宮本武蔵』は1巻だけ読んで、あまり面白くなかったから長いこと放置していたのだが、せっかくの夏休みだからということで、普段は読めないような長編小説に再チャレンジしてみた。んで、2巻目を読んでみるとそこそこ面白い。
 吉川英治の魅力はなんといっても「大志を抱いた若者がどうやって世に出て行くか、如何に成長していくか」という点に尽きると私は思う(平清盛にせよ足利尊氏にせよ曹操にせよ、皆そうした人物たちである)。だが、この宮本武蔵という男は、1巻の時点で人としてもう十分に成長しきっている印象を受けた。
 だもんで、1巻を読んだ時はそこが不満だったのだが、2巻まで読むと、どうやら武蔵はまだまだ未熟な人間だということが読者に伝わってくる。そんなわけで、これまでの吉川英治の作品と同じ様に楽しめた。
 あ、あと本書に登場する宿屋の娘の小茶ちゃんは非常に可愛い。頬を真っ赤に染めたりするし。