『ライトノベル完全読本』 日経BP社

 『ライトノベル完全読本』と題しているのに、背広着てネクタイ締めた(&爽やかな笑顔の)オッサンの顔写真付インタビューが載っていたりするのが、いかにも日経らしい。
 本書135頁にある大森望の『一般文芸書の世界から見たライトノベルの存在とは?』での“5年後、10年後には、文芸出版全体がライトノベル(的なもの)の天下になっているかもしれない。”というセリフから、夢野久作の“近代の文学は総て探偵小説である”という言葉を思い出した。
 夢野はさらにこうも言っている。“この故に、探偵小説は現在の如く、ほかの芸術のアパートに間借りして、小さくなって生活すべき性質のものではない。近い将来に於て、(探偵小説は)過去の一切の芸術を圧倒し、圧殺して、芸術の全アパートを占有し奔放自在に荒れまわるであろうところの最も新しい芸術の萌芽でなければならぬ”とも……。
 しかし長々と引用したけど、コレ、あんま関係ないな、ライトノベルと。「大森のセリフは夢野の言ってたことと、ノリが似てんなあ」って思っただけだしね、俺が。まあいいか、関係なくても。
 とにかく、勢いがあるジャンルというのは傍から見ていると結構面白い。こんな本が出版されるのもこのジャンルに人気がある証なんだろう。
 ただ、本書ではぴぴるぴるがほとんどクローズアップされていない。これは個人的に結構不満だった。何のために1000円もだしたのか分かりゃしねえ。