『魔法人形』 マックス・アフォード 国書刊行会

 密室状況の礼拝堂の中で殺人予告の人形を送られた一人の男が殺される。事件の背後には数年前の殺人事件が関わっているらしい。さらに犯人を強請ろうとした執事も殺され、事件は混迷の極みをみせるが……。数学教授にして素人探偵であるジェフリー・ブラックバーンが活躍する長編ミステリ。


 引用癖のある数学教授、謎の人形に素人探偵や怪しさ100%のジプシーなど雰囲気作りが素晴らしい。最初の殺人の密室トリック自体は名探偵コナンみたいなどうでもいいやつだったんだが、第2の殺人事件の方の”何故被害者を自殺にみせかけて殺さなかったのか?”といったところが面白かった。
 1937年にオーストラリアで書かれた作品なのだが、最近翻訳されたという事情もあって非常に読みやすかった。不満な点はロマンス分が足りないことか。それにしても、「オーストラリアのディクスン・カー」っつう称号はかっこわるいと思うぞ、森英俊よ。