『徳川家康〈1〉出生乱離の巻』 山岡荘八歴史文庫

 『徳川家康』というタイトルなんで、家康の幼少時代から描き始めるのかと思ったら、家康の父母である徳川広忠と於大の方の恋愛だけで1巻まるごと使っている。まさか、それだけで終わるとは思ってもいなかった。合戦シーンなどを期待していたのに、恋愛描写がメインだった。
 家康の両親以外にも、織田信長の幼少時代の天衣無縫さや南光坊天海の異僧ぶりなど、脇役とは思えないほど魅力的な登場人物も良い。こいつらがこれから活躍していくのかと思うと、ドキドキせずにはいられない。
 ただ、たまに挟まれている女性キャラのイラストが、私の好みではなかったので(私は『ぺとぺとさん』のようなイラストが好き)、そこが読んでいて嫌だった。武将なんかはカッコよく描かれているんだから、女性もうまく描いてくれたらよかったのに。
 で、本書の内容には全く文句は無いのだが、『あとがき』で作者がグダグダ言っているのが嫌だった。作者にこんなこと言われたら興ざめする。