『人生論』 トルストイ 新潮文庫

 「あー、人殺しの小説ばっか読んでないで、青少年らしく、たまには文学行こーか、ブンガク。日本人がブンガク気取って本読むんならやっぱロシア文学だよな、ロシアブンガク。トルストイの『戦争と平和』とかタイトルかっこいいな、これ読んでみようか。(古本屋で実物を見て)うわっ分厚いじゃねーか、こんなもん読めねえよ。こっちは手軽にブンガク青年気取ってかっこつけたいだけなんだよ、ったくよぉ。もっと薄いのはねえのか。(隣にある『人生論』を見て)おおっ、こいつは薄いじゃねえか、表紙も浮浪者みたいなヒゲ親父で面白いし、これにしよう。」

 そんなくだらないことを考えながら購入。トルストイが人生とはなんなのか、怠惰に生きている大衆に向かって、そんなんじゃ駄目だと居酒屋の親父のように熱く熱く語っている。たとえ話が分かりにくく、また文章が硬くて読みにくいなどの欠点があるが、暇つぶしには最適の1冊だった。