『日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集』 小栗虫太郎 創元推理文庫

 ミステリ界に名高い『黒死館殺人事件』他4篇を収録したもの。私はまだ『黒死館殺人事件』しか読んでない。


黒死館殺人事件
(あらすじ紹介)

  1. グレーテは栄光に輝きて殺さるべし。
  2. オットカールは吊るされて殺さるべし。
  3. ガリバルダは逆さになりて殺さるべし。
  4. オリガは眼を覆われて殺さるべし。
  5. 旗太郎は宙に浮びて殺さるべし。
  6. 易介は挟まれて殺さるべし。


 降矢木家の人々が一応この予言に従って(順不同)死んでいく。ただし『旗太郎は宙に〜』はどういうわけか、作中で取り上げられることはない。多分作者の小栗が書くのを忘れたんだと思う。読んでいる間はむちゃくちゃ面白いが、読み終わったら「何が面白かったんだ一体?」という作品。


 探偵役の法水麟太郎はかなりの電波野郎。暗号解読の方法や密室の作り方も一応説明してくれるが、何を言っているのかはよくわからない。とにかく事件と全く関係ない薀蓄をひたすら垂れ流し続ける。ワトスン役である熊城と支倉も、法水の話をあまり真面目に取り合わない。「それはまた後で聞くから…」と法水の薀蓄を冷静に流す場面も見受けられる。


 ラスト10頁ぐらいで犯人と犯行動機が説明されるが私は全く納得できなかった。というかこのラストがありなら、犯人は別に法水麟太郎でもいいような気がする。


 最後にこれからこの作品を読もうという方へ若干の助言を。

  1. この作品は小説ではなくポエムだから、あまり細かいことに突っ込んではいけない。
  2. この作品は小説ではなく辞書だから、ストーリーとかを求めてはいけない。
  3. 法水麟太郎の薀蓄をウザイと思ったら読まない方がいい。多分8割ぐらいは法水の薀蓄だ、この作品。