『妖精Who's Who』 キャサリン・ブリッグズ

 『ねじれた家』という大変面白いクリスティのミステリがあります。私はこの小説に登場するジョセフィンという探偵ごっこに興じる小生意気な少女が大好きなのです。彼女は幼いころに母親から「とりかえっ子(=チェンジリング)」と悪口を言われていた経験があるのです。「とりかえっ子」というのはイギリスの妖精のいたずらで、生後間もない赤ん坊と醜い妖精とをとりかえるものです。そんな悪口を言われていた彼女が、探偵役として事件に首を突っ込むのを、子供だった私は自分をジョセフィンに重ね合わせて、微笑ましく思いながら『ねじれた家』を読んでいました。


 で、その「取替えっ子」の説明を含む101の妖精を紹介したものが本書です。妖精学の先達として有名な井村君江さんが翻訳している事もあり、挿絵もそれっぽい妖精が描かれていて大変魅力的な一冊です。ブラウニーやらバン・シーやらハベトロットなどなど目次を見ているだけで楽しくなります。