『絹靴下殺人事件』 アントニイ・バークリー 晶文社

 駄目だ、楽しめなかった。解決編で探偵役のロジャーが採った、犯人の目前で犯人が行った犯行方法を再現し、犯人に心理的拷問を与えて、そこから自白を引き出すという力技な解決法はアリなのか? 証拠が無いから採用したとはいえ、ちょっとひどすぎるんじゃないだろうか。この方法はリスクが高い割に見返りがあまり期待できないと思うのだが。実験台になった人間が死んでも犯人が全く動揺しない展開も十分に考えられる。というかその展開を事前に考慮しつつ、それでもこの実験を強行してしまうロジャー(小説の登場人物にこんなことを言うのは無粋だとは承知しているんだが)はちょっとおかしいんじゃないか。

 『悪魔のミカタ2』 うえお久光 電撃文庫

 1巻のころはこちらの読み方が拙く、作者の意図がきちんと汲めていなかった。1巻はアレだったけど(その意見を変えるつもりは無い)2巻は面白い。圧倒的な戦力を誇る殺人怪光線を操る少女と主人公との一騎打ちを期待しつつ、その対決が結局スルーされてしまったのはちょっと残念だが、まあ良い。『赤毛の美しい女』が最高だったから次巻も読もう。