『源頼朝(1)』 山岡荘八 山岡荘八歴史文庫

 保元の乱で自分の親族を自らの手で殺めながらも、恩恵を得ることのできなかった源義朝源頼朝の親父さんである源義朝が公家連中に唆されて決起した平治の乱での活躍と、そして彼の無残な敗北を描いたのがこの巻。
 頼朝の出番はそんなにない。というか彼(13歳)は戦場においてはむしろ足手まといなんで。親父さんの義朝や悪源太・義平の邪魔するだけなんだから、すっこんでろこの野郎。
 そんなこんなで本書はそんなに面白いわけではない。なんせまだ平家物語の序盤にあたる「平治の乱」を描いただけなのだから、それも当然。大天狗・後白河法皇も旭将軍・木曽義仲も表舞台には出てこないし。奥州藤原氏や北条氏なんてかげもかたちも出てこないし。これから、これからですよ。
 とりあえず源頼朝の娘である大姫と木曽義仲の息子である義高との悲恋話が俺は特に好きなので、アレを山岡荘八がどのように書いたのかを楽しみにしながら、これ以降の巻を読んでいきたい。