『織田信長(2) 桶狭間の巻』 山岡荘八 山岡荘八歴史時代文庫

 弟・信行を討ち織田家中を纏め上げた信長は次に上洛を果たそうとする今川義元と対決する。今川義元に信長など眼中に無い。大軍を抱え、悠々と侵攻していく。信長は家臣にも内密に義元を討つ計画をたてていく。
 11歳の童女をとりあう前田利家。味噌を買いに走る豊臣秀吉。村祭りで人々と踊りに興じる織田信長。これら一見何の関係もなさそうなエピソードの全てが今川義元の大軍を田楽狭間におびきよせる為に信長がうった策だと判明する。こうやってエピソードの一つ一つが収斂していく様は面白い。(誤用だけども)鳥肌が立つほど面白い。
 ただ、同じ作者の『徳川家康(3)』とほとんど同じ流れ(まあ、視点人物が同じだから当たり前といえば当たり前だが)なんだけど、これは山岡荘八の手抜きなのか?それとも歴史小説ってのは大概こういうものなのだろうか。全く同じ話を同じ語り口で続けて読むのはちょっと辛い。
 あと217頁の雨中の乱戦模様を描いた合戦イラストが表紙にしたいぐらい素晴らしい。このイラスト描きさんは、女性はあんま可愛く描かないんだけども武将はかっこよく描くね。