『探偵小説と日本近代』 吉田司雄 青弓社

 近代文学の教授さんやら助教授さんやらがかいた探偵小説の評論集。あくまでも文学論のアプローチ方法を採用して、探偵小説を論じているので、ミステリ作家や評論家の書くものとは印象が違う。お馬鹿な私でも何を言いたいのかは大体読みとれる。ただ唯一、第5章の『砕け散る黒い部屋』という小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』を論じた箇所は本気で何を言ってるんだか全く分からなかった。
 総じてミステリに興味がある人よりも、ミステリっぽい文学とかに興味がある人のほうが楽しめるんじゃないかな、この本は。