『貴婦人として死す』 カーター・ディクスン ハヤカワ文庫

 先日カーを馬鹿にしていたら、「ヘイッ!『貴婦人として死す』を読まずにカーを馬鹿にするんじゃない、このジャップがっ!」とハイテンションな某編集さんに叱られ、頼んでもいないのに本を貸してくれたので仕方無しに読む。
 二つの足跡だけを残して崖から飛び降りた男女の死を描いたミステリ。カーの足跡トリックというと某短編のとんでもないトリックがトラウマになっているので、あまり期待せずに読み始めた。偽の解決編があまりにもひどかったんで、『所詮カーはこの程度の男よ』と思いつつも、その後のメイントリックがきちんとしてたんでそこでカーをちょっとだけ見直す。問題はこのメイントリックを千街の評論を読んでネタを知っていたため、破壊力が半減してしまったことか。読む順番を間違えたかもしんない。
 どうでもいいけど初登場ん時に仔犬たちと戯れているH・M卿がコミカルで非常に可愛かった。