『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』 関口苑生 マガジンハウス

 
 昭和20年代の横溝、高木らに代表される〈本格派〉の時代、昭和30年代は松本清張の〈社会派〉の時代、昭和40年代は本格と社会派の融合、昭和50年代は冒険小説やハードボイルドなど多彩なジャンルの多様化、細分化の時代、昭和60年代以降は新本格の時代……。そんな日本ミステリーの歴史を江戸川乱歩賞を通して読み解こうとする評論。
 「日本ミステリーの歴史なんてどうでもいいなあ」と思いつつも、こういう本を読んだり、ミス研なんていう暗い研究会に入っていたり、2ちゃんねるのスレを見て喜んだりしているのは、なんだかんだ言っても、未だに私がミステリを好きだからだろう。とりあえずどっかに積んである西村京太郎と森村誠一の受賞作は早めに読まないと。
 「関口氏の思考法がずいぶんと古くせえなあ」と思っていたら、1953年生まれなのね、この人。改めて世代の差を痛感しました。私とは随分センスが違う。しかしこの説教臭さが楽しい。