『ぺとぺとさん』 木村航 ファミ通文庫
マガ校に転校してきた中学二年生(見た目は小六、戸籍上は二十歳以上)藤村鳩子は愛しい物、気に入ったものと肌が触れ合うと「ぺとっ」とくっついて離れなくなってしまう妖怪『ぺとぺとさん』だった。その他にも『河童』の沙原くぐる、『あかなめ』の赤沢清美、『ぬりかべ』のぬりちゃん(本名真壁ぬりえ)、『座敷童』の和賀八郎などの妖怪たちと人間との数々の交流を描いたほのぼのとした学園物。
肌が「ぺとっ」とくっついて離れなくなることを「ぺとる」と表現しているのが素晴らしい。一応アクションやら生温い学園ラブコメっぽい物もあるが、私が一番面白かったのは前半だった。水泳の授業中にぺとってしまい、あわてている主人公とぺとぺとさんとのやり取りなど中学生の妄想っぽい場面が気に入った。さらに擬音(ぽっぴゅぽっぴゅ等)が多用されていて、読んでいて非常に楽しかった。気に入ったので一覧を作ってみた。しかし後半にいくほどパワー不足が感じられる。「ミにょコン」開催ややくざとの闘争等どのエピソードも規模が大きくなりすぎて、あまり好きになれない。
前半のほのぼのとした学園物の雰囲気が好きだったので後半はちょっと勘弁してもらいたかった。ただ、私はぺとぺとさん(+コンニャクみたいなこぬりちゃん)のキャラを気に入っているので、何だかんだいっても後半もそこそこは楽しめた。
ちなみに口絵のカラーは全てスク水。640円という価格は少々高いと感じたが、ロリコンで表紙が気に入った人は迷わずにレジに持っていくことをお勧めする。妖怪はたくさん出てくるが、そっち方面が好きな人には本書はあまり楽しくないと思われる。
(作中で使われる主な擬音一覧)
- とぴ とぴ とぴ とぴ…ぺとぺとさんの普段の足音
- どっぱ どっぱ どっぱ どっぱ…ぺとぺとさんの焦っている時の足音
- どぱどぱどぱどぱっ…ぺとぺとさんの非常に焦っている時の足音
- ぽっぴゅ ぽっぴゅ ぽっぴゅ ぽっぴゅ…ぺとぺとさんの楽しい時の足音
- ると ると ると ると…ぺとぺとさんの考え中の足音
- しぱ しぱ しぱ しぱ…ぺとぺとさんの寂しい時の足音
- ずんと ずんと ずんと ずんと…ぺとぺとさんの怒っている時の足音
- ずんと ずんと ずんと! ずずんと!!…ぺとぺとさんの非常に怒っている時の足音
- ぺっち ぺっち ぺっち ぺっち…こぬりちゃんの普段の足音
- かっきん こっきん かっきん こっきん…こぬりちゃんの緊張している時の足音