『秘密機関』 アガサ・クリスティ

 クリスティの作品の中でも『ビッグ4』と一、二を争う出来と言われている本書。思うにスパイ小説のはずなのに主人公であるトミーとタペンスがバカップル振りをさらしているから、緊張感がないせいだろう。ただ私はこういう生ぬるいラブコメものが大好きなので本書を難なく楽しめた。
 私がクリスティを好きな理由のひとつとしては、彼女の小説がエンタテイメントに徹しているからだと思う。クリスティの小説を読んでいる間は自分がひきこもりであること等の嫌な現実から目をそむけて空想の世界で遊んでいられるのが気持ちいいのだろう。
どうでもいいが、幼なじみとかメイドさんとか無駄に萌え属性を装備しているな、タペンスは。