Queen 〜QueenⅡ〜

 Queenの全アルバムの中でも屈指の完成度と人気を誇る名作。
 「White Queen」に代表される荘厳なホワイト・サイド(1〜5曲目まで)もいいが、圧巻は「Ogre battle」(6曲目以降)から始まるブラック・サイド。一つ目の食人鬼、オベロンとタイタニアの妖精、黒き女王の行進とファンタジー色満点。ブラック・サイドだけでひとつの曲という見方をするファンも多い。とりあえずブラック・サイドは1曲として捉えるのがいいと思う。


 「Ogre Battle」は、その名の通りギリシア神話の「オデュッセイアー」に出てくるような食人鬼が主役。あるひとりの老人が語った昔話という体裁をとっている。序盤から最後まで全く息つく暇もない。「あああ〜〜」の絶叫で始まって、「あああ〜〜」の絶叫で終わる。


 「Fairy Feller's Master-Stroke」はこのアルバムの中で私が最も好きな曲。妖精が農夫に向かって『胡桃を割ってよ』と叫んでいるという意味不明な詩は、リチャード・ダッドという画家の絵を参考に描かれたという。


 「Nevermore」とりあえずここで一息。お茶でも飲んでマターリとしながら、黒き女王が登場するまでの束の間の平和を楽しむ。


 「The March Of The Black Queen」は短い曲をいくつも繋ぎ合わせて作った「QueenⅡ」を象徴する1曲。黒き女王が登場して国を支配したり、行進したりして、突然いなくなってしまうという『お前ら本当に作品を真剣に作っているのか?』と聞き返したくなるようなわけのわからない歌詞だ。が、立塞がる敵はすべて倒すという妖しげな黒の女王は、私の理想の女性像でもある。悪魔を従えて行進する姿がひたすらかっこいい。西澤保彦の『巧千暁シリーズ』に出てくる高瀬千穂に似ているといえば少しはイメージできるかもしれない。


 「Funny How Love Is」は愛のすばらしさについて歌った曲。黒の女王が消え去った後のことを歌っているのでやけに明るい。私にとってブラック・サイドは以上で終わりである。次にもう1曲あるが、これはボーナストラックとして私はとらえている。