『森を抜ける道』 コリン・デクスター ハヤカワ文庫

 新聞記事に掲載された一編の詩から女学生失踪事件の手がかりをモース警部が探り当てる。前半はともかく、後半がモース警部にしては地味な(というか真っ当な)推理になってしまうのがうーんなんだかなという感じ。
 犯人の説得力も十分あるし、ラストでのサプライズも申し分なく、ゴールド・ダガー賞受賞という売り文句にも納得がいくのだけれど、やはり俺がモース警部に求めるのは読者とルイス部長刑事を布津の国に置いてきぼりにしそうなぐらいブっ飛んだ、まさにアクロバティックとしか言いようのないそんなミステリが読みたかったんだけどね。